Azure Blob Storageとは?種類・階層・料金体系を1から丁寧に解説

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Azureのストレージアカウントは使ったことがあるけれど、「Azure Blob Storage」については詳しく知らない、という方は意外と多いのではないでしょうか。
Blob Storageは汎用性が高く、多くの用途で活用できる一方で、階層や料金、アクセス制御など独自のポイントもあります。
本記事では、ストレージアカウントの基本を理解している方向けに、Azure Blob Storageの仕組みや活用法をわかりやすく解説します。
使い方の幅を広げたい方や、より効率的な運用を目指す方にとって、必ず役立つ内容です。

Azure Blob Storageとは?わかりやすく解説

Azure Blob Storageとは、Microsoft Azureが提供するクラウド上のオブジェクトストレージサービスです。画像や動画、文書ファイル、バックアップデータなど、さまざまな種類のファイルをインターネット経由で安全に保存・管理することができます。

「Blob」とは「Binary Large Object(バイナリ・ラージ・オブジェクト)」の略で、簡単に言えば「大きなファイルのかたまり」を意味します。Azure Blob Storageでは、このBlobという単位でデータを扱います。

最大の特徴は、大量のデータを柔軟かつ低コストで保存できることです。例えば、Webアプリの画像ファイル、動画コンテンツの保存、大量のログデータ、さらには機械学習の学習データまで、用途は多岐にわたります。

また、Microsoftのクラウドサービスであるため、高い信頼性・可用性・セキュリティが備わっており、企業の業務利用にも適しています。

Azure Blob Storageは「インターネット上に安全で便利なファイル置き場を持てる」と考えるとイメージしやすいでしょう。

Azure Blob Storageの基本機能

Azure Blob Storageは、クラウド上での柔軟かつ高性能なファイル保存を可能にするストレージサービスです。ここでは、初心者の方にもわかりやすく、Azure Blob Storageの主要な基本機能を紹介します。

1. 3種類のBlobタイプ

Azure Blob Storageでは、用途に応じて3つのBlobタイプが用意されています。

Block Blob(ブロックブロブ)
一般的なファイルの保存に使われ、テキストや画像、動画、文書ファイルなどの非構造データに最適です。

Append Blob(アペンドブロブ)
データを追記する形式で保存するため、ログデータや監視データの記録に向いています。

Page Blob(ページブロブ)
高速な読み書きが可能で、仮想マシンのディスク(VHDファイル)などに使用されます。

2. 容量無制限のスケーラビリティ

Azure Blob Storageは、膨大なデータを保存しても自動的にスケーリングされ、容量制限を意識せずに利用できます。数ギガバイトからペタバイト級のデータまで、ニーズに応じて対応できるのが強みです。

3. 柔軟なアクセス制御

ファイルやフォルダ単位でアクセス制御が可能で、公開・非公開の設定も細かく行えます。たとえば、特定のユーザーにだけ読み取り権限を付与したり、一定期間だけアクセスを許可することもできます。

4. 高い可用性と耐久性

Azureは地理的に分散されたデータセンターを活用しており、万が一障害が発生してもデータを自動的にバックアップ・復旧する仕組みがあります。データは複数のコピーが保持され、99.999999999%(イレブンナイン)の耐久性を実現しています。

5. ストレージ階層によるコスト最適化

Azure Blob Storageは、データの使用頻度に応じてHot、Cool、Archiveの3つのストレージ階層を選択できます。頻繁にアクセスするデータはHot階層、あまり使わないデータはCoolやArchive階層にすることで、コストを大きく削減できます。

6. セキュリティと暗号化

保存されたすべてのデータは、自動的に暗号化されます。また、Azure Active Directory(Azure AD)や共有アクセス署名(SAS)など、セキュアな認証手段が提供されており、企業レベルのセキュリティ要件にも対応可能です。

Azure Blob StorageのWebサイトホスティングについて

Azure Blob Storageは、静的Webサイトのホスティングにも活用できることをご存じでしょうか?HTMLやCSS、JavaScriptなどの静的ファイルをアップロードするだけで、シンプルかつ低コストでWebサイトを公開できます。

この機能は「静的Webサイトホスティング」と呼ばれ、個人のポートフォリオサイトや製品紹介ページ、ランディングページなど、サーバーサイドの処理を必要としないWebサイトに最適です。

特徴とメリット

  • サーバー不要:IISやApacheなどのWebサーバーを構築・管理する必要がありません。Blobストレージにファイルを配置するだけで公開できます。
  • HTTPS対応:Azureが自動でSSL証明書を管理してくれるため、常に安全なHTTPS通信が可能です。
  • スケーラビリティ:アクセスが集中しても、自動的にスケールされるためパフォーマンスに優れています。
  • コスト効率:動的な処理が不要なため、非常に低コストでWebサイトを運営できます。

実装手順(概要)

  1. Azureポータルでストレージアカウントを作成
  2. 静的Webサイトホスティングを有効化
  3. index.html404.html などのファイルをアップロード
  4. 自動的に割り当てられるURLからサイトを閲覧可能に

必要に応じて独自ドメインの設定やCDN(コンテンツ配信ネットワーク)との連携も可能です。


静的Webサイトを素早く公開したい方、WordPressのような複雑なCMSが不要な方にとって、Azure Blob Storageは非常に魅力的な選択肢となります。開発・保守の負担を減らしつつ、安全で高速なWebサイトを構築したい方におすすめの機能です。

Azure Blob Storageのストレージ階層と料金体系

Azure Blob Storageは、データの利用頻度や保存期間に応じて複数のストレージ階層を用意しており、コストとパフォーマンスを最適化できるのが大きな特徴です。ここでは、各ストレージ階層の違いや適切な使い分け、そして料金体系についてわかりやすく解説します。


ストレージ階層の種類と特徴

Azure Blob Storageには、以下の4つのストレージ階層が用意されています。

1. Premium(プレミアム)階層

  • 特徴:低遅延・高スループットのストレージ。SSDベースで高速なデータ処理が可能。
  • 用途例:トランザクションが多いアプリケーション、仮想マシンの一時ストレージなど。

2. Hot(ホット)階層

  • 特徴:アクセス頻度の高いデータに適した階層。保存コストは高めだが、アクセスコストは低い。
  • 用途例:Webアプリで日常的に使用する画像や動画、業務で頻繁に参照するファイルなど。

3. Cool(クール)階層

  • 特徴:アクセス頻度は低いが、一定期間は保存が必要なデータに適する。保存コストは安く、アクセスコストは高め。
  • 用途例:ログデータ、バックアップデータ、古いプロジェクトファイルなど。

4. Archive(アーカイブ)階層

  • 特徴:アクセス頻度が極めて低く、長期保存が前提のデータ向け。データの取り出しには数時間かかるが、保存コストは最安。
  • 用途例:法的保存義務がある記録データ、古い研究データ、災害復旧用の情報など。

Azure Blob Storageの料金体系の考え方

Azure Blob Storageの料金は、以下の要素によって決まります。

  • ストレージ容量(GB単位)
  • データのアクセス回数
  • データの転送量(送信)
  • 操作やAPIリクエストの回数
  • 階層間の移動(例:Cool → Hot)

例えば、頻繁にアクセスするデータをCool階層に置いてしまうと、アクセスごとにコストがかかり、かえって高くつく可能性があります。逆に、まったく使わないデータをHot階層に置きっぱなしにするのもコストの無駄です。


コスト最適化のポイント

  • データの利用頻度を見直して適切な階層に分類
  • アクセスログを定期的に確認して、階層の自動移行ポリシーを設定
  • ライフサイクル管理ルールを活用して、不要なデータは自動的に削除

Azureでは、これらの設定をGUIでもコードでも行えるため、運用負荷を抑えながら効率よく管理できます。

Azure Blob Storageのストレージ階層と料金体系を理解しておくことで、無駄なコストを削減しつつ、必要なデータを最適な形で保持できます。利用用途やビジネス要件に応じて柔軟に階層を選び、賢く活用しましょう。

Azure Blob Storageに似ているAzureサービスとの違い

Microsoft Azureには、Azure Blob Storage以外にもさまざまなストレージサービスが存在します。それぞれに得意分野や用途が異なり、使い分けが重要です。ここでは、Blob Storageと混同しやすい代表的なストレージサービスとの違いをわかりやすく解説します。


1. Azure Blob Storage と Azure Files の違い

項目Azure Blob StorageAzure Files
特徴オブジェクトストレージ(ファイルを1つのオブジェクトとして保存)SMBプロトコル対応のフルマネージドなファイル共有
主な用途画像、動画、バックアップ、大量データの保管ファイルサーバーのクラウド移行、共有フォルダ
アクセス方法REST API、SDK、AzCopy、Storage ExplorerなどSMBマウント、REST API、Storage Explorer

ポイント
Azure FilesはWindows環境のファイル共有に向いており、Azure Blob Storageはよりスケーラブルな非構造データの保存に強みがあります。


2. Azure Blob Storage と Azure Data Lake Storage Gen2

項目Azure Blob StorageData Lake Storage Gen2
特徴一般的なオブジェクトストレージビッグデータ向けの階層構造ストレージ
主な用途アプリケーション用ファイル保存、バックアップなど分析・機械学習用の大量データ処理(Hadoop/Spark等)
特徴的機能シンプルなアクセスモデルPOSIX互換アクセス制御、ディレクトリ構造対応

ポイント
Data Lake Storage Gen2は、Blob Storageの機能をベースに分析処理向けの拡張を行ったサービスで、階層構造とアクセス制御が必要な分析環境に最適です。


3. Azure Blob Storage と Azure Table Storage

項目Azure Blob StorageAzure Table Storage
特徴ファイルやバイナリデータの保存構造化されたNoSQLデータの保存
主な用途画像、ドキュメント、動画、ログなどキー・値形式の軽量データ(ログ、設定情報)
アクセス方法REST API、SDKなどODataプロトコル、SDKなど

ポイント
Table Storageは構造化された軽量データの保存に特化しており、Blob Storageとは用途がまったく異なります。

Azure Blob Storageのセキュリティの考え方

クラウドストレージを利用する際、多くのユーザーが最も気にするのが「セキュリティ」です。Azure Blob Storageは、Microsoftが提供するエンタープライズ向けのサービスとして、高度なセキュリティ機能を標準で備えており、データの機密性・完全性・可用性を高いレベルで保護します。

1. データの暗号化

Azure Blob Storageでは、保存されるすべてのデータが自動的に暗号化されます。これは「ストレージ側の暗号化(Server-Side Encryption)」と呼ばれ、Microsoftが管理するキー、またはユーザーが管理するカスタマー管理キー(CMK)で制御可能です。

さらに、通信中のデータもTLS(Transport Layer Security)を用いて暗号化され、第三者による傍受を防ぎます。

2. アクセス制御と認証

Blobへのアクセスは、以下の複数の方法で厳密に管理されます。

Azure Active Directory(Azure AD)によるロールベースアクセス制御(RBAC)

組織のユーザーやグループに対し、アクセス権限を細かく設定できます。

共有アクセス署名(SAS)

一時的に限定されたアクセス権を外部ユーザーに発行可能。たとえば、24時間だけ読み取り可能なURLを生成する、といった柔軟な対応が可能です。

匿名アクセスの制限

コンテナー単位で公開・非公開を設定でき、意図しない外部公開を防ぎます。

3. ネットワークレベルでの保護

Azure Blob Storageは、以下のネットワーク制御機能によって外部からの不正アクセスを防ぎます。

ファイアウォールと仮想ネットワーク統合
特定のIPアドレスやAzure仮想ネットワークからのアクセスのみを許可することが可能です。

プライベートエンドポイント
インターネットを経由せず、Azureの内部ネットワーク経由でBlob Storageにアクセスできるため、セキュリティが大幅に向上します。

4. アクセス制御と監査

データの保存期間中は、誰が・いつ・どのようにデータにアクセスしたかを管理することも重要です。Azureでは、Azure Active Directoryや共有アクセス署名(SAS)を用いたアクセス制御に加え、監査ログの取得も可能です。

Azure Blob Storageは、多層防御(Defense in Depth)の考え方に基づき、ストレージレベル、通信レベル、ネットワークレベル、ユーザーアクセスレベルと、あらゆる角度からデータを保護しています。クラウド上で安心して機密情報を扱いたい場合にも、十分なセキュリティ基盤を備えたストレージサービスです。

Azure Blob Storageのデータ管理とライフサイクル

Azure Blob Storageでは、単にデータを保存するだけでなく、「いつ・どのように・どこまで保存するか」といったライフサイクル管理が非常に重要です。データの利用頻度や保存期間に応じて自動的に管理することで、運用負荷を軽減し、コストの最適化を実現できます。

ライフサイクル管理ポリシーの活用

Azure Blob Storageには「ライフサイクル管理ポリシー」を設定できる機能があり、以下のような自動処理を定義できます。

  • 一定期間アクセスがなかったデータをHot階層からCool階層へ移動
  • 使用されていないデータをArchive階層へ自動で移行
  • 保存から○日後にデータを自動削除

これにより、手動でのデータ管理の手間を省きつつ、ストレージコストを大きく削減できます。

データの分類とタグ付け

大量のBlobを扱う場合、データを分類・整理する仕組みとして「Blobインデックスタグ」が役立ちます。これは、Blobにキーと値のペアでメタデータを付与できる機能で、特定条件に合うBlobのみを対象にライフサイクルポリシーを適用するなど、きめ細かいデータ管理が可能になります。

Azure Blob Storageのライフサイクル管理機能を活用すれば、データの最適な配置や削除が自動化され、コスト削減とセキュリティの両立が可能になります。長期的なデータ運用を見据えるうえで、非常に重要な機能です。

Azure Blob StorageをAzureポータルでデプロイする手順を解説

Azure Blob Storageを使い始めるには、まずストレージアカウントを作成する必要があります。ここでは、Azureポータルからのデプロイ手順を初心者向けにわかりやすく解説します。


Step 1:Azureポータルにサインイン

まず、Azureポータルにアクセスし、Microsoftアカウントでサインインします。まだアカウントがない場合は、無料アカウントの作成から始めましょう。


Step 2:ストレージアカウントの作成

  1. 左側メニューの「リソースの作成」をクリック
  2. ストレージアカウント」を検索し、表示されたサービスを選択
  3. 作成」ボタンをクリックして設定画面へ

Step 3:基本設定の入力

  • サブスクリプション:使用するAzureの契約を選択
  • リソースグループ:新規作成または既存グループを選択
  • ストレージアカウント名:一意の名前を入力(小文字英数字のみ)
  • リージョン:データを保存する場所(例:東日本、西日本)
  • パフォーマンス:標準(HDDベース)またはプレミアム(SSDベース)
  • レプリケーション:LRS(ローカル冗長)など、可用性要件に応じて選択

入力後、「次へ」をクリックして進みます。


Step 4:高度な設定(オプション)

必要に応じて以下の設定を行います。

  • Blobアクセス階層(Hot / Cool)
  • 暗号化方式の選択
  • セキュリティ設定(Azure Defenderなど)

特にこだわりがなければ、デフォルトのままでも問題ありません。


Step 5:確認と作成

すべての設定が完了したら、「確認および作成」をクリックします。設定内容を確認し、「作成」を押すとデプロイが始まります。

数分でストレージアカウントが作成され、Blob Storageが利用可能になります。


Step 6:Blobコンテナーの作成

  1. 作成したストレージアカウントを開く
  2. 左メニューの「コンテナー」をクリック
  3. +コンテナー」ボタンをクリックし、名前とアクセスレベルを設定
  4. 「作成」で完了

このコンテナーが、Blobファイル(画像・動画・文書など)を保存する単位になります。


Step 7:Blobファイルのアップロード

  1. 作成したコンテナーを開く
  2. アップロード」を選択し、任意のファイルをアップロード
  3. ファイルのURLが自動生成され、アクセス確認も可能です

Azure Blob Storageは、数ステップで簡単にデプロイできます。ポータルのGUIを使えば、コマンド操作が苦手な方でも直感的に操作できるので、初心者の方にもおすすめです。

Azure Blob Storageを使用する際の注意点

Azure Blob Storageは非常に便利で柔軟なクラウドストレージですが、活用する上でいくつかの注意点もあります。以下に、運用上よくある落とし穴や意識しておくべきポイントをまとめました。

1. ストレージ階層の選択ミスに注意

Hot・Cool・Archiveといったストレージ階層を誤って設定すると、予期しないコスト増につながります。アクセス頻度に応じた階層の選択が重要です。

2. アクセス制御の設定は慎重に

コンテナーやBlobに匿名アクセスを許可すると、誰でもデータにアクセスできてしまう可能性があります。初期設定時はアクセスレベルをよく確認しましょう。

3. データ削除は即時・完全

Azure Blob Storageには「ごみ箱」機能がないため、誤って削除したファイルは即時消失します。必要に応じて、バージョン管理やソフト削除(Soft Delete)機能を有効にしておきましょう。

4. トランザクションコストに注意

保存容量だけでなく、操作(PUT、GETなど)や転送にも課金が発生します。大量アクセスが発生するアプリでは、アクセス頻度を抑える設計も重要です。

5. 地理的リージョンの選定

ストレージアカウントのリージョン(地域)選択によって、速度や可用性、コストが変動します。ユーザーやサービスの近くにあるリージョンを選ぶのが基本です。

まとめ

Azure Blob Storageは、スケーラブルで高セキュリティなクラウドストレージとして、個人から大企業まで幅広く活用されています。本記事では、Azure Blob Storageの基本から、ストレージ階層・料金体系、セキュリティ、データ管理、類似サービスとの違い、ポータルでのデプロイ手順、活用時の注意点までを網羅的に解説しました。

ポイントを押さえて正しく運用すれば、コストパフォーマンスに優れた、安全で柔軟なデータ管理が可能になります。初めての方もこの記事を参考に、Azure Blob Storageの活用をぜひ始めてみてください。

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