【クラウドエンジニア目線】サーバー学習の順番をロードマップ化

IT 基礎

現代のIT業界では、クラウドサービスが当たり前になり、サーバー技術者に求められるスキルセットも大きく変わりました。しかし、クラウドの根底にはやはり従来のサーバー技術が存在し、それらの理解なしには効果的なクラウド運用は困難です。

本記事では、これからサーバー技術を学びたい方、またはクラウド時代に合わせてスキルアップしたい方に向けて、体系的な学習ロードマップを紹介します。Linux基礎から最新のIaC(Infrastructure as Code)まで、実践的な観点から優先度を明確にしながら解説していきます。

学習ロードマップ全体像

まずは全体の流れを把握しましょう。以下の7つのステップを、重要度に応じて段階的に進めていくことをお勧めします。

  1. Linux基礎(OS & コマンド). 🟥 必須
  2. サーバー基本構成(Web, DB, ネットワーク) 🟥 必須
  3. 監視・トラブルシュート 🟥 必須
  4. 仮想化・コンテナ 🟧 中〜高
  5. クラウド上のサーバー利用(EC2/VM, RDS, LB) 🟥 必須
  6. IaC(Terraform, Ansible) 🟧 中〜高
  7. セキュリティ・IAM 🟥 必須

STEP 1. OSとLinuxの基礎

目的:サーバーの最小単位であるOSを理解する。

  • OSの基本構造(カーネル、ユーザー空間、プロセス、メモリ)
  • Linux基礎コマンド(ls, cd, cat, ps, top, kill など)
  • ファイル操作、ユーザー管理(chmod, chown, useradd
  • サービスの起動・停止(systemctl
  • ログの確認(/var/log/

必要度:必須(LPIC Level1程度が目安)
クラウドでもVMに入ると必ずLinuxに触るため、ここは避けられません。すべての基礎となる重要なステップです。

STEP 2. サーバーの基本構成

目的:1台のサーバーで動く基本サービスを理解する。

  • Webサーバー(Apache, Nginx)
  • アプリケーションサーバー(Node.js, Python, PHP-FPM など)
  • データベース(MySQL, PostgreSQL)
  • ネットワーク基礎(IP, DNS, ポート, ファイアウォール)

必要度:高い
クラウドの「EC2(AWS)」や「VM(Azure)」でアプリを動かすときの基礎知識となります。従来のサーバー構成を理解することで、クラウドサービスの仕組みもより深く理解できるようになります。

STEP 3. サーバー監視とトラブルシュート

目的:運用で欠かせない「サーバーが重い/落ちたときの対応」を理解する。

  • CPU/メモリ/ディスク/ネットワーク使用率の確認
  • top, htop, iostat, vmstat, df, du
  • ログの読み方(journalctl
  • サービスが落ちたときの復旧手順

必要度:高い
クラウドでもVM運用が残る限り必要な知識です。障害対応能力は、サーバー技術者として最も重要なスキルの一つです。

STEP 4. 仮想化とコンテナ

目的:クラウドの土台になっている仕組みを理解する。

  • 仮想化の基本(ハイパーバイザー、VM)
  • コンテナの基本(Docker)
  • コンテナとVMの違い
  • Dockerで簡単なアプリを動かす

AWS ECS/EKS, Azure AKS を使うときに必須の知識です。現代のアプリケーション開発・運用において、コンテナ技術は欠かせない要素となっています。

STEP 5. クラウド上でのサーバー利用

目的:クラウドの「サーバーっぽいサービス」を理解する。

  • AWS EC2 / Azure VM(IaaS)
  • Auto Scaling, Load Balancer(伸縮と負荷分散)
  • Managed DB(RDS, Azure Database for PostgreSQL/MySQL)
  • サーバーレス(Lambda, Azure Functions)と比較理解

必要度:必須
クラウドのインフラ設計で一番出てくる領域です。従来のサーバー概念をクラウドでどう実現するかを理解することが重要です。

STEP 6. インフラ構成管理とIaC

目的:クラウドを「手作業」ではなく「コードで管理」できるようにする。

  • Infrastructure as Code (IaC) の考え方
  • Terraform / Bicep / AWS CDK
  • 構成管理ツール(Ansible)

必要度:高い
大規模環境では手作業構築が通用しないため、現代のインフラ運用には欠かせない技術です。

STEP 7. セキュリティと権限管理

目的:安全にサーバーを運用できる知識を持つ。

  • Linuxの権限管理(パーミッション、sudo)
  • SSHの仕組みと公開鍵認証
  • ファイアウォール(ufw, iptables, セキュリティグループ)
  • クラウド特有のIAM(AWS IAM / Azure RBAC)

必要度:必須
クラウド運用の現場で一番問われるのはセキュリティ知識です。セキュリティを軽視したシステムは、企業にとって大きなリスクとなります。

まとめ

サーバー技術の学習は、一見すると膨大で複雑に見えますが、体系的にアプローチすることで効率的に習得できます。本ロードマップでは、クラウド時代に即した実践的なスキルセットを、優先度を明確にしながら整理しました。

  • 実際に手を動かしながら学習する(理論だけでなく実践を重視)
  • クラウドサービスを使った実際のプロジェクトで経験を積む
  • セキュリティは全てのステップで意識し続ける

技術の進歩は早いですが、ここで紹介した基礎知識は長期的に価値のあるものです。特にLinux基礎、ネットワーク、セキュリティの知識は、どんなに技術が進歩しても変わらず重要であり続けるでしょう。

皆さんのサーバー技術学習の成功を応援しています。一歩ずつ着実に進めていけば、必ずクラウド時代に求められるサーバー技術者になることができます。

プロフィール
TanaT

株式会社あいてぃ所属。
クラウドエンジニア(AWS・Azure)
取得資格:AWS SAP、AZ-104、AZ-305
フロントエンド、バックエンド開発もできるフルスタックエンジニアとして学習中。
「AIとクラウドについて学ぶ」サイトの編集長。

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