「Azureで生成AIを使ってみたい。でも調べ始めた瞬間に、Azure OpenAI Service・Azure AI Foundry・旧Azure AI Studioと似た名前が次々出てきて、頭が混乱していませんか?

「AzureでAIを使おうとすると、Azure OpenAIとかAI Foundryとか似た名前が出てきて、もう何がなんだか…」
そこでこのブログでは、Azure AI Foundry / Azure OpenAI の使い方を、テーマごとに1つずつ解説していくシリーズを始めます。モデルのデプロイ、運用(コンテンツフィルターや料金・クォータ)、RAGやファインチューニングまで、「Foundry / OpenAI で何ができて、どう使うのか」を面で押さえることをねらいとした連載です。
その第1回となる今回は、いきなり手を動かす前に、多くの人がつまずく用語の霧を晴らすことを目的にします。具体的には、Azure OpenAI Service・Azure AI Foundry・旧Azure AI Studioの関係を一枚の地図として整理します。ここが分かっていないと、以降のどの記事を読んでも「あれ、これは今のポータルのどこの話?」と迷子になってしまうからです。読み終わるころには、この領域の全体像がクリアになっているはずです。
まず結論:3つの名前は「世代」の違い
本題の用語整理に入ります。Azureで生成AIを調べると Azure OpenAI Service・Azure AI Foundry・Azure AI Studio という似た名前が出てきて混乱しますが、これらは対立する別サービスではなく、同じ流れの上にある“世代の違い”です。時系列で並べると正体が一発でわかります。
| 時期 | 名前 | ざっくりした位置づけ |
|---|---|---|
| 〜現在も継続 | Azure OpenAI Service | GPTなどOpenAIのモデルをAzure上で使う個別サービス |
| 2023年〜2024年頃 | Azure AI Studio | 複数のAIサービスを束ねる統合ポータル(旧称) |
| 2024年後半〜 | Azure AI Foundry | AI Studioを改称・拡張した統合AI開発プラットフォーム |
| 2026年時点 | Microsoft Foundry | さらにブランド統合が進んだ最新の呼称 |
つまり、こう理解すればOKです。
- Azure OpenAI Service:GPTを使うための「1つの部品」。今も現役で、このシリーズでも実際に使う中心の部品です。
- Azure AI Studio → Azure AI Foundry → Microsoft Foundry:その部品を含む多数のAI機能を、1か所でまとめて扱う「作業場」。名前が3回変わっただけで、中身は同じ系譜です。
「AI Studioが消えた」のではなく、AI Studioが名前を変えて成長したものがAI Foundry(現Microsoft Foundry)、というのが真相です。
Azure AI Foundry とは?
Azure AI Foundryとは、AIアプリやAIエージェントを「作る・試す・運用する」までを1か所で完結できる、Azureの統合AI開発プラットフォームです。GPTのような大規模言語モデルだけでなく、Anthropicのモデル、Meta(Llama)、Mistral、DeepSeek、Hugging Faceのオープンモデルなど、1,900種類以上のモデルを1つのカタログから選んで使えるのが最大の特徴です。
例えるなら、こういうイメージです。
- Azure OpenAI Service=特定メーカー(OpenAI)の食材だけを扱う専門店。GPTやCodex系が欲しいならここで十分。
- Azure AI Foundry=OpenAIも含め、各社の食材(モデル)・調理器具(ツール)・厨房(運用基盤)が全部そろった巨大な市場。モデル選び・お試し・アプリ化・監視まで一気通貫でやれる。
Foundryが束ねている主な要素は次のとおりです。
1. モデルカタログ(Foundry Models)
OpenAIのGPTシリーズやコーディング特化のCodex系モデルをはじめ、各社のモデルを検索・比較・デプロイできる“モデルの見本市”です。ベンチマーク比較も用意されており、「自分のユースケースにどのモデルが最適か」を実データで見比べてから選べます。このシリーズで使うCodex用モデルも、ここから選んでデプロイします。
2. プレイグラウンド(お試し環境)
コードを書く前に、ブラウザ上でモデルにプロンプトを投げて挙動を確認できる遊び場です。デプロイ前の“味見”に便利です。
3. エージェントサービス(Agent Service)
モデルに「ツールを使う・記憶を持つ・複数ステップの作業をこなす」といった能力を持たせ、AIエージェントとして組み立てるための機能です。単なるチャット応答から一歩進んだAIを作れます。
4. 評価・監視・ガバナンス
応答品質の評価、トレースやモニタリングでの可視化、RBACやAzure Policyによるアクセス統制ができます。「作る」だけでなく「安全に本番運用する」までを企業向けに面倒みてくれるのがFoundryの本質です。
Azure OpenAI Service との関係
ここが一番混同されるポイントです。両者の関係は、ひとことで言えば「Azure OpenAIはFoundryの中に含まれる一部分(サブセット)」。対立ではなく、包含の関係です。
| 観点 | Azure OpenAI Service | Azure AI Foundry |
|---|---|---|
| 使えるモデル | OpenAIのモデル中心(GPT・Codex系) | OpenAI+各社の1,900以上 |
| エージェント機能 | 単体では限定的 | ◎(Agent Service) |
| 評価・監視・統制 | 基本的な機能 | ◎(統合ダッシュボード) |
| 音声・画像などのAI機能 | 対象外 | ◎(Foundry Tools) |
| 立ち位置 | 単機能サービス | それらを束ねるプラットフォーム |
Azureのリソースとしても両者はつながっています。Microsoftは「既存のAzure OpenAIリソースを、Foundryリソースへアップグレードできる」仕組みを提供しており、公式ドキュメントでは「Foundryリソースは、Azure OpenAIリソースの上位互換(スーパーセット)」と明言されています。しかもアップグレードしても既存のエンドポイント・APIキー・ネットワーク設定はそのまま保持されます。
このシリーズでの判断はシンプルです。Codexを動かすだけなら、まずはAzure OpenAIリソースにコーディング用モデルをデプロイすれば十分。より広いモデルカタログやエージェント機能が欲しくなったら、後からFoundryへ広げればOKです。
旧「Azure AI Studio」はどこへ行った?
過去の記事やチュートリアルで「Azure AI Studio」という名前を見て、「今のポータルに見当たらない」と戸惑う人が非常に多いです。答えは明快で、Azure AI Studioは廃止されたのではなく、Azure AI Foundryへ改称・進化しました。
さらに2026年時点では、公式ドキュメント上でブランドが「Microsoft Foundry」へと再び統合されつつあります。旧来の呼称は「Foundry(classic)」として区別され、新しいポータルへの移行が進んでいる状況です。名称の変遷を1本の線でまとめると、次のようになります。
- Azure AI Studio(旧称・統合ポータル)
- ↓ 改称・機能拡張
- Azure AI Foundry(統合AI開発プラットフォームとして確立)
- ↓ ブランド統合
- Microsoft Foundry(2026年時点の最新呼称)
この背景を押さえておくと、「古い記事=AI Studio」「今のドキュメント=Foundry」と読み替えるだけで、情報が一気につながって見えます。用語が変化の途中にある領域なので、記事を読むときは「いつ書かれたものか」を意識するのがコツです。
全体像を1枚の地図に
ここまでの整理を1枚の地図にまとめると、こうなります。この地図がこのシリーズ全体の土台になります。
- Azure AI Foundry(現Microsoft Foundry)=AI開発の「作業場」全体。モデル・エージェント・評価・運用を束ねるプラットフォーム。
- その中のAzure OpenAI Service=OpenAIモデル(GPT・Codex系)を使う「部品」。Foundryのサブセット。
- 使いたいモデルはモデルカタログからデプロイし、エンドポイントURLとAPIキーを取得して呼び出す。
- 本番運用では、料金・クォータ・コンテンツフィルター・RBACといった“運用の作法”が効いてくる。
次回以降は、この地図の各エリアを1つずつ掘り下げていきます。
シリーズ予告(機能ごとに網羅していきます)
このシリーズは、今回の概要編を入口に、Azure AI Foundry / Azure OpenAI の機能を1テーマずつ網羅していく連載です。着手順は「基礎 → 応用」、そして初心者が最初に知りたい順・資格試験にも出やすい順で並べています。
- 【今回】概要・用語整理:Azure OpenAI Service/Azure AI Foundry/旧Azure AI Studioの関係を地図として整理。
- モデルのデプロイと接続の基本:リソース作成 → モデルのデプロイ → エンドポイントURL・APIキーの取得まで。初心者が最初に手を動かすところで、Terraform例も紹介予定。
- 運用編:料金・課金/クォータ・レート制限/コンテンツフィルター:初心者が必ずつまずき、資格試験でも頻出の超重要トピック。トークン課金の考え方、TPM/RPMのクォータ、有害コンテンツのフィルタリングをまとめて押さえます。
- RAG(オンユアデータ):自社データを使って回答させる応用パターン。
- ファインチューニング:モデル自体を自分のデータで微調整する、最応用トピック。
特に②デプロイ&接続と③運用(料金・クォータ・フィルター)は、初心者にも資格試験にも刺さる“最初に押さえるべき土台”なので、シリーズの前半に持ってきています。リソース作成の例は、再現性の高さを重視して基本的にTerraformで示していく予定です。
また将来的には、この連載で身につけた知識を応用して、ローカルのAIコーディングツール(Codexなど)をAzure経由で使う実践記事も別途お届けする予定です。
まとめ
シリーズ第1回では、Azure AI Foundry / Azure OpenAI を理解するための「地図」を共有しました。
- Azure OpenAI Service:GPT・Codex系をAzureで使う単機能サービス。今も現役で、まずはここから始めるのが手軽。
- Azure AI Foundry:OpenAIを含む1,900以上のモデル・エージェント・評価・運用を束ねる統合プラットフォーム。Azure OpenAIの上位互換(スーパーセット)。
- 旧Azure AI Studio:廃止ではなく、AI Foundryへ改称・進化。2026年時点ではさらにMicrosoft Foundryへ統合が進行中。
- 読み替えのコツ:「Azure OpenAI=部品、Foundry=それを束ねる作業場」。古い記事はAI Studio、今のドキュメントはFoundryと読み替える。
名前に振り回されず、この地図さえ頭に入れば、この領域はぐっと読みやすくなります。次回は、いよいよ手を動かしてAzure OpenAI/Foundryリソースを作成し、モデルをデプロイしてエンドポイントとキーを取得するところまでを解説します。お楽しみに。
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